’09百里基地航空祭 その2
激走1泊4日1853キロ 2~3日目
明日は人がいっぱいだろうからと、先に出店でお土産などめぼしい物を買い漁り、少し早かったが宿へと向かう。予約した時に話した感じからすると、新田原前の「やすらぎ」みたいな雰囲気かなと思っていたが、何ていうかそのまんまの雰囲気だった。足りないのは、1階で居酒屋をしていなかったこと。だから当然、部屋中に戦闘機乗りたちの痕跡が残ってもいないし、ここでの新たな出逢いも期待できない(まあ、何もそれが目的じゃないけれど)わけだ。入り口で声を掛けると、小学生くらいの女の子が出てきてお母さんを呼びにいく。玄関前で周囲を見回したりなんかして少し待っていると、隣の温泉施設からパタパタとおばさん(失礼)が走ってきた。部屋に通されお風呂が入ったと呼ばれるまでのたった30分間で、3人は見事に墜ちていた。高知を夜中に出発して高速をひた走り、片道約10時間半、更に基地内を歩き回ること3時間半。この後はGGくん八Fくんが宴席を構えてくれているので、今の内に少しでも体力を回復させておかなければ、土佐っぽ3馬鹿百里に死すなんてことにもなりかねない。
やがて「お風呂入りました」の声に、ぼくが先頭を切って風呂場へと向かう。服を脱ぎすっぽんぽんになって(風呂に入るのだから当たり前だけど…)ガラリと戸を開けたままの状態で、ぼくは凍り付いてしまった。なんと、お風呂のお湯の色が……何色って言えば良いのだろう?う~んと一番最初に思い付いた色が『どぶ色』だった。蛇口から流れ出ているお湯を手で掬ってみると間違いなく『どぶ色』で、すっぽんぽんの姿のまま今更人を呼んでお湯のことを聞くのも恥ずかしいので、とりあえず匂いを嗅いでみた。特に異臭はしない。だからといって硫黄のような匂いも無かったので、いまいち温泉だという自信が持てない。仕方ないので、そのお湯で2~3度手を擦ってみた。すると、ぬるぬるとした温泉特有の感触があったから、やっと安心して入ることが出来た。せめてひと言説明があれば、こんなに悩むこともなかったのに…。
部屋に戻り他の者にこのことを伝えていたから、その後は大きな混乱もなかったのだけど、戻って来てみな口々に温泉の色に度肝を抜かれたと言った。ひととおり、風呂の話で盛り上がった後、再び布団で気を失い約束の時間までのあっという間が過ぎると、少しだけHPが回復したような気がする。
GGくんが手配してくれた店の車に揺られて約15~20分、着いた店はちょっと「やすらぎ」のような空気が漂っているトンカツ屋さん。後で聞いた話だと、空自出身の方がやっているお店のようだ。適当に注文して生ビールが届くころ、八Fくんが着き乾杯した後少し遅れてGGくんが到着した。
生ビールを定量飲んだ後で、見回した店の壁には『マッコリ』の文字。隣国の飲み物のようだけど、飲んだことがなかったので興味本位で頼んでみる。紙パックで出てきたお酒は、薄い乳酸菌飲料のような味だった。まあアルコール度数も高くないから、ガバガバ飲んで平らげて次に移る。「やっぱり漢の酒は焼酎だよな」なんて氷を入れてロックにして飲むと、疲れた五体に染み渡る「くわぁ~、美味いのう」土佐っぽの馬鹿声が百里の地に響き渡った。
10時半ころには宿へ戻り、そのまま爆睡。午前6時前に横で寝ていたKMの地獄のような鼾で目を覚ます。鼻を摘んでも止むことのない鼾の攻撃に、諦めて体を起こし窓を開けると、百里の冷たい空気が室内に流れ込み、一瞬だけ鼾が止まった。昨夜心配された雨は止んでいたが、遠くの景色は靄に包まれている。GGくんと八Fくんは3時起きの4時出勤だって言ってたっけ、ぼくらのために無茶な勤務を強いられているわけだから、せめて彼らに余計な負担をかけないようにしなくては。
開けていた青い空は、流れてきた雲に覆われたり晴れたりを繰り返す。でもまあ、雨さえ降らなければと、7時半に宿を出発する。足は勿論、苦労して運んできた『折畳み式自転車』だ。渋滞の横を通り抜けていく時には、少しだけ嬉しくなる。
正門から入って最初に向かったのが「F-4EJ飛行隊発祥の地」という記念碑。前日に整理をしていた隊員の方に場所を尋ねたがご存じなかったので、帰る時に探していたら正門のすぐ近くにそれらしい石碑を見つけていたのだった。昨日はもうパワーダウンしていたので、寄って行く気にはならなかったが、今日は元気いっぱいだしオープニングにも時間もあるしと、他の2人も促して立ち寄った。
会場に着いても天気は良くなく、ずっと靄に包まれたままだった。GGくんは今日はアラートで基地の外れに缶詰にされていた。八Fくんはオープニングの編隊飛行でウイングマンを務めると聞いていたので、連絡しても忙しいだろうしと遠慮していたが、結局靄は晴れないままで編隊飛行は見られずタクシーだけに終り、午前中の戦闘機の演目は、辛うじてF-15がぐるぐるりんと回って終わる機動飛行だけだった。



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